ランチタイムが終わったところだったけど、無断でちょこっと外出してドトールまでの道を往復してみた。でも、見つからなかった。歩道など、人が歩くところには無い。店で訊いてもなかった。
17時過ぎに仕事を終えて、ドトールまでの途中にある吉(よし)そばで食べて帰ろうと寄ってみた。昼に寄ったときと変わらず券売機が故障していて役に立たない。困ったなと歩いていたら、ドトールのカウンター席が空いているのが見えたので、ランチはそこで済ませたのだった。ランチ後に戻ったときも訊いたけど、ドトールでもう一度、落とし物がなかったか訊いてみた。無い。
2度訊いて無いと言われたのだから諦めて、会社経由で最寄りの駅へ向かうよう歩き始めた。
ものを無くしても普段あまり感じることがない、ものとの別れによる喪失感と悲しみが胸にこみ上げてきた。これには自分でも驚いた。ブラスだから、使っていくごとに経年で色が変化していき、唯一無二のぼくのボールペンになると楽しみにしていたからかもしれない。友達や恋人や家族が、時間の経過に合わせて見た目が変わっても続いていくような。困った。ものへの思い入れが強すぎる。
駅に向かう途中の信号で、拾って持ち去った奴を呪ってやると思ったときに向けた視線の先に、
小さく見えた。長さ10センチほどの物体。ひょっとして…近づいてみたらぼくが落としたペンだった。拾い上げてみると、ただ落ちただけではない(踏まれた?蹴飛ばされた?)へこみが少しできていた。でもそれは、月日が経てばこのペンの個性と呼べるものになるのだろう。だから、出番は少ないかもしれないけど、新しいのを買い直そうと思っていた気持ちを変えてみた。
買い直すことで、わざわざ自分のミスを訂正することもないだろう。見つかったんだから。
中央付近、くびれて細くなる手前のブツブツのへこみが今回の傷。
今日はこれでよしとした。もし、冬の夕方で真っ暗だったら見つけられなかったかもしれない。
いけない。ものに対する思い入れが強すぎる。
5月9日(木)
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